車の常識・豆知識シリーズ@
エンジンブレーキを使っていますか?
少し前に事故が起きました。何故か同様の事故が定期的に起きます。
今回は観光バスが下り坂でブレーキが利かなくなりカーブを曲がり切れず横転して乗客が死傷するという事故でした。
原因はフェード現象ではないか?と言われていますがフェード現象とはどういったものでしょうか?その前にブレーキの構造からお話しますとディスクブレーキの場合、ブレーキパッドがブレーキローターを挟んでその摩擦力で回転を抑えスピードを下げるというものです。自動車レースを観ているとカーブで減速した際に前輪のタイヤホイールの中(正確にはブレーキローター)が真っ赤になっているのを見たことはないでしょうか?摩擦熱というのはあれくらい凄まじいもので一般の自動車でも水を掛けるとジューっと蒸発するくらい熱くなることもあります。
峠道などで急こう配を下る際にずうっとブレーキを踏んでいると摩擦熱でブレーキパッドとブレーキローターが非常に高熱になり、摩擦材の熱分解で発生したガス膜が間にはさまることで摩擦力が減り、ブレーキの効きが悪くなるのがフェード現象です。
車の免許を取得する際、学科で勉強しているはずなのですが車に詳しくない方はほぼ忘れているというのが現状ではないでしょうか。特に昨今のトランスミッション事情が拍車をかけています。現在自動車のトランスミッションが90%以上の割合でオートマ(AT)ということです。またAT限定免許の方も多いのではないでしょうか。MTですとエンジンブレーキがよく利くので日常的によく使っている方が多いと思いますが上手な人ですと信号で止まる際、ある程度距離があればエンジンブレーキだけで減速し停車させることが可能です。
このエンジンブレーキとはエンジンの回転を利用した減速方法のことです。車はアクセルペダルを踏むことで加速しますが、ペダルから足を離すとエンジンの回転数が落ち、制動力によって徐々に減速していきます。この減速力がエンジンブレーキです。アクセルペダルから足を離すだけでエンジンブレーキの効果を得ることができますが、シフトダウンしてエンジン回転数を上げることで、より強い制動力が得られます。ではATではこのエンジンブレーキを使えないのでしょうか?いいえ!ATでも同様にエンジンブレーキを使うことができます。「D(ドライブ)」しか使ったことないという方は一度マイカーをよく見てみてください。4速ATの場合、シフトのところで「D」以外に「OD」「2」「L」といった場所がないでしょうか?「OD」はスイッチになっているケースが多いようですがこれを切ると3速、「2」が2速、「L」が1速という感じでMT同様そのシフトに固定することができるのでエンジンブレーキを利かせることができるのです。エンジン音は大きくなりますがブレーキが利かなくなるよりいいと思いませんか?
もしあなたが観光バスに乗車していて峠の下り坂でバスのエンジン音が静かだな…と感じたら…その運転手さんはエンジンブレーキを使ってない!と思ってください。そこから先はあなたの判断にお任せします。
<ポイント>
下り坂はなるべくフットブレーキを使わずエンジンブレーキを利かせる
ATもシフトチェンジでエンジンブレーキが使える